<テニス:全日本選手権>◇8日目◇14日◇東京・有明テニスの森公園

 日本のテニス界に新女王が誕生した。日本ランク8位で17歳10カ月の女子高生プロ、奈良くるみ(大産大付高)が初優勝を遂げた。2度目の決勝進出となった同9位の米村知子(27)を7-5、6-1のストレートで破った。17歳10カ月の優勝は史上8番目の若さ。全試合ストレート勝ちは04年佐伯美穂以来となった。

 プロ転向わずか半年で奈良が頂点に立った。高校3年生の新人プロは、優勝の瞬間、その場で「キャー!」と何度もジャンプ。「全然緊張していなかった。リラックスしてできた」と話した。

 滑り出しは守りに回った。第1セット、2-4とリードされたが「(気持ちが)引いてしまったら差が開く。ついていこう」と我慢して逆転に成功。勢いづいた第2セットは1ゲームしか失わなかった。

 昨年大会まで2度のベスト8が最高成績だった。今年は第3シードでプロ初の全日本。「優勝を狙っていた」。大会前には優勝した時のかっこいいガッツポーズを「妄想していた」という。優勝の喜びでそのポーズは忘れてしまった。

 クルム伊達が昨年5月の現役復帰戦でダブルスのパートナーに指名した逸材。今年から杉山愛を指導した寺地貴弘氏がコーチとなった。158センチと小兵だが「全日本は通過点。4大大会で早く勝ちたい」。杉山、森上が去った日本のテニス界に、頼もしい若手が登場した。【吉松忠弘】