<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第3戦・中国杯>◇5日◇中国・上海

 男子ショートプログラム(SP)4位の織田信成(24=関大大学院)が227・11点で銀メダルを獲得した。3回転フリップで両手をつくなど細かなミスはあったものの、安定した演技で表彰台に滑り込んだ。SP2位からGP初優勝を狙った16歳の羽生結弦(東北高)は、2度の転倒が響いて226・53点の4位。女子でSP4位の村上佳菜子(中京大中京高)はミスが相次ぎ、合計150・20点で6位に終わった。

 4回転は跳ばなかった。SPと合わせても、1度も挑まなかった。それでも銀メダル獲得。織田が、巧みな安定感で表彰台に上った。「びっくりした」と目を丸くし「自分の演技次第で表彰台に行けると意識していた。大きなミスなく最後まで滑りきれて、ホッとしている」と、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 最初にいきなり、トリプルアクセル(3回転半)からの3連続ジャンプを決めた。続いて連続3回転にも成功。冒頭の2つの要素だけで23・03点の高得点を稼いだ。序盤の3回転フリップで両手をつくミスはあった。だが、ルッツジャンプの踏み切り違反を除けば、SPから、失敗はこの1つだけ。「自分の中では70点はあげられる」と、納得顔で及第点をつけた。

 4月の世界選手権では、もはや不名誉な「代名詞」となったジャンプの跳びすぎ違反を犯して、日本男子最低の6位に終わった。失意の中、帰国した直後に左膝の腱(けん)を部分断裂していることが分かった。痛みが何度も再発し、3カ月間もリンクを離れた。「焦ったし、もどかしさは感じた」。

 そんな焦りを家族が支えてくれた。10月で1歳になった長男の信太朗くんら家族との時間が取れると、前向きに捉えて乗り越えた。「自分の力を出し切る」ことをテーマに置いた今大会。経験豊富なベテランが、巧みな力を見せつけた。