<W杯スキー:モーグル>◇第10戦◇19日◇新潟・苗場スキー場

 夫婦でつかんだ復活の表彰台だ。今季復帰した上村愛子(32=北野建設)が2位に入り、10年3月の猪苗代大会で優勝して以来、2季ぶりの表彰台に立った。予選を2位通過し、勝ち上がった決勝ではオードリー・ロビショー(カナダ)に敗れたが、夫の皆川賢太郎(竹村総合警備)が大会誘致に尽力した大会での表彰台。14年ソチ五輪へ、力強く踏み出した。

 上村が勝負師の顔になった。決勝トーナメント準決勝で伊藤を破り、迎えた決勝。復帰後のW杯4戦は「戻ってきてうれしい」との気持ちで滑っていたが、この日はスタート台に立つとグッと気持ちが入った。

 最初から飛ばし、攻めの姿勢を貫いた。第1エアを通過した直後にバランスを崩し、ラインから大きく外れ2位だったが、W杯に復帰して6戦目で表彰台に立った。「欲が出た。負けたくないという気持ちになれたことが収穫。少しだけ自信になった」と笑った。

 二人三脚でつかんだ。2年ぶりの日本開催となった今大会はスポーツメーカー、ドーム(本社・東京都品川区)が実施に名乗り出て実現したが、「モーグルの火を消したくない」と夫皆川も誘致に尽力した。上村は目標ができ、復帰の大きなきっかけになった。主婦業と復帰のはざまで揺れ動く心を後押ししてくれたのも夫だった。上村は「大会が終わって『ただいまって家に帰ってくる笑顔が本当にうれしい』と言ってくれる。戻って良かった」と感謝した。

 今季は今後のW杯には出場せず、3月の全日本選手権(福島・猪苗代)のみに出場し、来季に備える予定だ。これまで2年後への思いは封印してきたが「(ソチ五輪へ)行けるといいですね。行きたいです」ときっぱり。2人で世界への階段を再び上り始めた。【松末守司】