<競泳:ジャパンオープン>◇最終日◇27日◇東京・辰巳国際水泳場

 王者・北島康介不在の男子200メートル平泳ぎで、五輪の表彰台を狙う立石諒(22=NECグリーンSC玉川、慶大)が2分9秒07の好タイムで優勝した。第2次合宿中で疲労はピーク。それでも前半から積極的に飛ばす圧巻の泳ぎを披露し、ロンドンで北島との「ワンツー」に期待が高まった。女子50メートル背泳ぎでは、寺川綾(27=ミズノ)が27秒71の日本新記録で制した。

 五輪に向けた壮行大会。その最後を飾る男子200メートル平泳ぎ決勝で、立石がロンドンへの「決意表明」を示した。北島はいない。だが、目に見えぬライバルを追うかのように飛ばした。4月の選考会並みに50メートルを29秒20、100メートルも1分2秒14。ラスト50メートルからは失速したが、それでも記録は2分9秒07だ。調整なしの泳ぎ込みの時期としては異例の高速タイムだった。

 「体のきつさはマックス。体が重いというより、動かない。それでも100%の力を出し切れた。康介さんがいない中で、9秒台の頭を出したことは自信になった」と、表情はすがすがしかった。

 平井ヘッドコーチは「(2分)7秒台が見えた。康介と2人で本気で金を目指してほしい」と絶賛した。4月の選考会で北島から「努力しない天才」と痛烈な一撃。その言葉を覆すべく「一生に1回あるかどうかの大舞台。もっと練習してメダルを取りに行きたい」。天才が本気になった。【佐藤隆志】