<ラグビー・トップリーグ:サントリー16-12ヤマハ発動機>◇第2ステージ第1節第2日◇29日◇東京・秩父宮ラグビー場

 2年ぶりの優勝を目指すA組のサントリーが第2ステージ初戦で、ヤマハ発動機に競り勝った。日本代表の松島幸太朗(21)が初めてCTBで出場し、0-3の前半11分、右中間にトップリーグ初トライを挙げて勝利に貢献した。A組は第1ステージの上位8チームの1回戦総当たりで行われ、上位4位までが来年1月24日からのプレーオフに進出する。

 走りだした瞬間、スタンドが沸きあがった。前半11分、松島はグラウンド中央やや右でパスを受けると「前の選手の動きが止まったので、いけると思った」と守備のわずかな隙を見逃さなかった。得意のステップでタックルにくる3人の間を抜け、一気に加速する。ゴール右へ、約60メートルを一直線に走った。雨で重くなった芝をものともせず、ゴール右中間へ飛び込んだ。

 神奈川・桐蔭学園高を卒業後、南アフリカの名門シャークスの育成組織でプレー。今年8月にトップリーグでデビューした。第1ステージではFBやWTBで出場し、この日初めてCTBで先発した。それでも「代表ではCTBなので予想していたし、しっかり準備できた」と戸惑いはなかった。代表では4トライを決めているが、トップリーグでは初出場から約3カ月かかって初トライ。ケガによる離脱もあり「やっとですね」と苦笑いした。

 大久保監督は今後、松島を最大限活用していく考えだ。CTBでの起用はボールを持つ機会を増やす狙いだったと話し「持つだけで相手の脅威になる選手」と評価。「将来は代表のFBも背負ってほしい」と期待を寄せた。

 日本代表の欧州遠征から25日に帰国して中3日。「きついところはあるけど、勝っていいスタートができた」と充実の表情を見せた。日本ラグビー界期待の星が、幸先のいいスタートを切った。【岡崎悠利】

 ◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日生まれ。ジンバブエ人の父と日本人の母を持つ。神奈川の強豪・桐蔭学園高に入学し、2年時に花園で準優勝。13年にサントリー入団、今季からトップリーグに正式登録。175センチ、85キロ。日本代表キャップ数は6。