<W杯スキー:ジャンプ女子札幌大会>◇個人第2戦◇10日◇札幌・宮の森ジャンプ競技場(HS100メートル、K点90メートル)

 女王・高梨沙羅(18=クラレ)が定位置に戻ってきた。1回目に97メートルでトップに立ち、2回目は最長不倒となる98メートルを飛び、2回合計249・9点で今季初勝利を挙げた。国内開催7連勝を達成し、自身の持つ女子最多通算勝利も25に伸ばした。初戦は3位だったが、圧倒的な強さを見せ、地元からいよいよ上昇気流に乗る。

 高梨は2回目に98メートルの大ジャンプで着地すると右手でガッツポーズを作り、観客にアピールした。1回目の着地後も両手を掲げたが、いつも冷静な女王にとっては珍しいシーン。今季の初勝利、さらに地元開催7連勝をつかみ取り、笑顔を振りまいた。「連勝は応援してくれる方の力が大きい。この結果で道が開けたら」と前を向いた。

 1回目97メートルで首位に立ち、迎えた2回目にすごみを増した。スタートゲートに座り、グッと集中力を高めた。激しく吹く風も、周囲の雑音も聞こえない。力強く飛び出し、98メートルまで飛んだ。飛距離にして2位に9・4メートルの大差。強い沙羅ちゃんが戻ってきた。「1回目もまずまずだったが、2回目はさらにいい」。

 今季の初戦は3位だった。シーズン前にブーツとスキー板をつなぐ金具を新調したものの何度も壊れるなど、生命線である助走路の滑りに狂いが生じた。そこで帰国後、金具を昨年のものに戻し、再びジャンプを作り上げた。指導する父寛也さんが「飛び出し(テークオフ)でもたつきがなかった」と話すように、復調気配を示している。

 夏はジャンプ練習でも多くは飛ばず、常に試合を想定しながら1本1本の質を高めた。「ソチ五輪(4位)の経験をどう生かすか重要なシーズン」と試行錯誤を続けながら3年後の18年平昌五輪を見据える。

 これで個人総合もロゲリ(スロベニア)、イラシュコと同点で並び首位に立った。今日11日に単独首位を目指す。個人総合3連覇へ女王が地元で勢いを増す。【松末守司】