<バレーボール:ロンドン五輪世界最終予選兼アジア予選女子大会>◇3日目◇22日◇東京体育館

 「火の鳥スカイツリー」がさく裂した。世界ランク3位の日本は同12位のタイを3-0で下し、開幕から3戦連続ストレート勝ちで首位をキープした。09年アジア選手権王者を相手に、ブロックだけで17点。最多タイ4本を決めた江畑幸子(22=日立)は計21点を挙げる活躍で、チームを引っ張った。東京スカイツリーが開業した日に、高さでアジアの強国を一蹴。3大会連続の五輪に近づき、今日23日は宿敵の韓国と対戦する。

 東京体育館でツリーがそびえ立った。第1セット3-1からの山口を皮切りに計6人、ブロックだけで17点。コンビプレーで粘る「ほほ笑みの国」も、日本の“タワー”の高さに苦笑いするしかなかった。「チームが一番驚いているのは、江畑のブロックじゃないでしょうか。本当にいいところで決めてくれた」。真鍋監督に名指しされた殊勲者は「まぐれもあって、自分でもビックリしてます」と目を丸くした。

 ハッパをかけられた。朝の練習で、指揮官に告げられた。「ブロックが悪かったら、すぐに代える」。江畑は開幕から2試合連続でブロック0。ブロック担当の大久保コーチは「日本はレシーブがいいので、どちらかのサイドを捨てても拾える」と言う。速攻や時間差攻撃が得意なタイに、アタッカーを絞って跳ぶように指示。第1セットからブロック2本の江畑に、同コーチは「監督の喝が効いたのでしょう」と喜んだ。

 江畑の好きな言葉がある。「井の中の蛙(かわず)大海を知らず、されど空の高さ(深さ、広さ、青さ)を知る」。中国の思想家、荘子の書物がきっかけの言葉だ。1つの場所にとどまって道を究めれば、より深く物事を知るという意味。代表でただ1人、Vリーグ2部に相当するチャレンジリーグの日立でプレーする。「高い意識を持ってプレーすれば成長できる」。昨年のW杯から木村と「ダブルエース」と呼ばれ、この日も不調の木村をカバーした。

 アジアの難敵を退け、今日23日、アジア3連戦の最後となる韓国戦を迎える。記録の残る93年以降29勝28敗と永遠のライバルだ。勝てば五輪王手の可能性もある大一番へ「まだミスも多いので、自分たちのバレーをしっかりやりたい」と江畑。日本の柱へ建築中の伸び盛りが、世界の空へ大きく羽ばたいている。【近間康隆】