<ラグビー・トップリーグ・プレーオフ:東芝6-0三洋電機>◇31日◇決勝◇東京・秩父宮ラグビー場
東芝が6-0で三洋電機を下し、2シーズン連続5回目のトップリーグ優勝を果たした。前半の2PGによる得点を、後半残り10分は自陣にくぎ付けになりながら守りきった。昨季優勝時は、外国出身選手(当時)の不祥事のため瀬川智広監督(39)は謹慎中、選手も喜びを表現できなかったが、この日は2年越しの胴上げを実現させた。プレーオフ制度導入後の連覇は初めて。プレーオフのMVPには東芝FB立川剛士(33)が選ばれた。
試合終了直後、歓喜の円陣の中で広瀬主将が叫ぶ。「思い切り喜ぼうぜ!」。瀬川監督が3回宙を舞う。昨季の決勝は寮の食堂でテレビ観戦、選手の戦う姿に号泣した。同時に自らのクビを覚悟し、部の存続さえ危惧(きぐ)していた。それから1年。「感謝の言葉しかないです」と絞り出す同監督のポケットの中で、携帯電話が鳴りっぱなしだ。「瀬川さんを表舞台で胴上げしたかった」と、広瀬の声が上ずった。
厳しい戦いだった。後半30分からは防戦一方。1トライ1ゴールで逆転を狙う三洋に、ラインアウトからモールというFW戦を繰り返され、ゴール目前まで何度も攻め込まれた。同34分にはシンビン(一時的退場)で14人に。既に両足がつっていたロック大野は「むしろ気合が入った」と振り返る。最後は三洋バツベイの突破を許しそうな場面で、プロップ久保とフッカー猪口がこん身のタックルで仕留め、ターンオーバーにつなげてノーサイドだ。
猪口は「ブラウンからバツベイにパスが出るのが読めた」と誇らしげ。今年は選手会長として、部の信頼回復のための清掃活動や植林活動を引っ張ってきた。「ラグビーだけでなく、人間として必要な部分が磨かれた」。そんな猪口が途中出場から大仕事をやってのけたのが、東芝の底力だ。騒動の発端となった窃盗事件からちょうど1年の今年1月4日には、「この日を忘れてはいけない」という意味で、監督以下全員で地元の大国魂(おおくにたま)神社に行き、気持ちを新たにしていた。
華麗なトライシーンはなかった。それでも、MVPの立川は「攻め続けたから(相手の)反則につながった」と、2PGの6点も東芝らしさの延長とした。これで今季の目標は半分果たした。残る半分は、昨季出場辞退した日本選手権での優勝だ。【岡田美奈】


