米ハワイ出身で絶大な人気を誇った元関脇高見山の東関親方が24日、東京・両国国技館で行われた夏場所千秋楽で本場所に別れを告げた。6月16日の誕生日で65歳となり定年を迎えるためで「ほっとしている。でも寂しさもあるね」と複雑な表情を浮かべた。

 この日は正午から約1時間、最後となったチケット切りの業務をこなした。来場者から「お疲れさまでした」などと声を掛けられるたびに親しみのある笑顔で応対し、握手にも丁寧に応じた。

 1964年2月に来日し、戦後初の外国出身力士になった。好きな言葉の「辛抱と努力」でけいこに耐え、72年名古屋場所で外国人として初の幕内優勝を果たした。

 日本国籍を取得し、引退後は親方になって横綱曙らを育てた。19歳で角界入りしてからの45年余りを「まさかここまで来るとは思わなかった。相撲は“彼女”みたいなものだね」とユーモアを交えて愛着を口にした。

 弟子の高見盛は「親方がいなかったら相撲界に入っていなかったかもしれません。相撲界のためにありがとうございましたとしか言えません」と感謝する。東関親方は「これからもテレビで相撲を見るよ。国技館に来た時は升席は(自分には)狭いからいす席で見ようかな」。“ジェシー”の愛称で親しまれた人気者らしく、ジョークで締めくくった。