30日に東京・両国国技館で行われた日本相撲協会の役員改選で、再任が決まった北の湖理事長(元横綱)や各理事は、公益財団法人認定など“待ったなし”の課題克服に向けて「一致団結する」「理事長を支える」と新体制の一体感を強調した。

 国技館内の大広間で始まった就任記者会見で北の湖理事長は「残りの人生の全てを懸ける」と覚悟を表明。返り咲きに非難の声があるとの質問に「私は聞いていないが」と聞き返し「(他の理事の)皆さんから推薦を受けたので、自分の仕事を全うしていく」と顔色を変えずに話した。楯山新理事(元関脇玉ノ富士)は緊張感を漂わせ「親方衆の意見も取り入れながらやる」と相撲界全体で協調する考えを示した。

 今回の役員改選では非公開ながら立会演説会を初めて実施。選挙管理委員長を務めた武隈親方(元関脇黒姫山)は「それぞれが考えを話していた。やってよかった」と総括したが、落選した友綱親方(元関脇魁輝)は「話すことを紙に書いていたけど、思ったことの半分も話せなかった」と振り返った。

 昨年2月に解散したガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会座長を務めた奥島孝康氏は「北の湖理事長は力士としては大好きだが、守旧派と聞いている。放駒前理事長が敷いたレールを踏襲し、公益財団法人として立派な協会を築いてほしい」とくぎを刺した。また鶴田卓彦・横綱審議委員長は「(北の湖理事長は)根はまじめで素直な性格だと思う。親方衆の人望も厚いし、理事長としてはうってつけで安心できる。以前は大麻問題で辞任したけど、理事長としていろいろと研究していくと思う」と期待を寄せた。