<大相撲初場所>◇初日◇12日◇東京・両国国技館

 午前8時45分に満員札止めとなった新年初日。詰めかけた観客の大歓声が、悲鳴とため息に変わった。

 綱とりを目指す大関稀勢の里(27=田子ノ浦)が、東前頭筆頭の豊ノ島(30=時津風)に痛い1敗を喫した。「弱さが出ましたね」と唇をかみしめてつぶやいた。

 立ち合いで腰が高く、もろ差しを許した。1度はつかんだ右上手が切れた後、腰高のまま前に出て行ったが、すくい投げで転がされた。左膝から崩れるように落ちると、土俵下でなかなか顔を上げられなかった。

 昨年末、師匠の年寄名跡の変更で、所属部屋の名前が田子ノ浦に変わり、拠点も千葉・松戸市から東京・墨田区に移った。それでも動じることなく準備を重ね「状態はいい」と何度も口にしてきた。それだけに、痛い1敗を喫した。

 81年名古屋場所の千代の富士ら、初日に黒星を喫しながら、横綱昇進を果たした例は過去にある。ここからいかに立ち直れるか。「切り替えて、また明日から」。自分自身に言い聞かせた。