日本相撲協会は2日、関取69人に行った抜き打ちの尿検査で、ロシア出身の西前頭3枚目露鵬(28=大嶽)と十両白露山(26=北の湖)の兄弟からマリフアナ(大麻)の陽性反応があったと発表した。2人はこの日夜に警視庁に任意同行を求められ事情聴取を受けた。北の湖理事長(元横綱)率いる北の湖部屋と大嶽部屋は大麻取締法違反の疑いで家宅捜索を受けた。先月18日には同じロシア出身の元前頭若ノ鵬のガグロエフ・ソスラン容疑者(20)が大麻所持の容疑で逮捕されている。白露山の師匠でもある北の湖理事長の辞任は必至の状況となった。
角界にまたも衝撃が走った。午後8時、協会側が露鵬、白露山兄弟にマリフアナ使用疑惑があると発表した。しかも「2、3日以内に使用した疑いがある」という驚きの内容だった。
4時間後の深夜0時には、警視庁捜査員が、露鵬の大嶽部屋、白露山の北の湖部屋を家宅捜索した。3日午前1時25分すぎから白露山は北の湖部屋前で会見し「絶対にしていない。2週間前には警察でDNA検査も受けて、何もでなかった。きょう(2日)の検査には間違いがあると思う」と話した。しかし北の湖理事長が率いる部屋にも捜査のメスが入る異常事態に、周囲は騒然となった。
午後1時、協会は秋場所(14日初日、両国国技館)前の力士会で東京・両国国技館に集まった関取69人に対し、抜き打ちの尿検査を行った。約30分後、陰性だった67人の関取は検査会場の相撲教習所を退出したが、陽性反応だった露鵬、白露山だけがその場に残った。
2人は即座に「身に覚えがない」と否定。確認のために露鵬に計3回、白露山に2回同様の検査を行ったが、結果は変わらなかった。検査責任者の日本相撲協会アンチ・ドーピング委員会の大西祥平専門委員(慶大教授)は「この検査は2、3日以内の使用に反応するものです」と説明した。
同委員によると、それでも両関取は「知らない。この検査だけで納得しない」と主張。そこで午後5時にはさらに詳しい検査を実施した。「この結果が判明するのは通常1週間~10日かかるが、緊急を要せば48時間以内に分かる。今回はそうしたい」と話し、早ければ4日にも結果が出る。
両関取は、ガグロエフ容疑者と同じロシア出身。同容疑者は露鵬に角界入りを誘われたこともあり、2人を慕い、行動をともにすることが多かった。調べに「他の力士はやっていない」と話したが、警視庁は両関取をマーク。この日までに白露山は事情聴取を受け、露鵬も一両日中に同庁に出頭する予定だった。一方で双方とも協会再発防止検討委員会の聴取には「やってない」と主張。北の湖理事長、大嶽親方(元関脇貴闘力)にも潔白を訴え、両師匠もそれを信じていた。
この状況を受け、協会再発防止検討委員会伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)は「まだ結果は出ていないが、残念としか言いようがない。若ノ鵬の事件があり、『もう他の力士はやっていない』と胸を張って言いたかったのだが…」と、頭(こうべ)を垂れた。
2人は午後7時29分、両国国技館で捜査員に任意同行を求められ、深夜まで及んだ事情聴取を受けた。そこでも大麻使用を否定したが、再検査も陽性となれば、若ノ鵬事件の反省もなく、大麻を常習的に使用していた疑いが強まる。北の湖理事長の進退を問われるだけでなく、日本相撲協会は根底からの立て直しを迫られる。【柳田通斉】

