横綱朝青龍(28=高砂)らに対し、日本相撲協会内部からまた批判の声が上がった。夏場所(東京・両国国技館)初日を2日後に控えた8日、モンゴル出身力士数人が千葉県内でゴルフコンペを敢行した。朝青龍の呼びかけに、場所で優勝を争う横綱白鵬(24)や、初日に対戦する小結鶴竜(23)も参加していた。「八百長騒動」などで世間の目が厳しい中、本場所直前の軽率な行動で、「こんなに恥ずかしい話はない」などと、協会幹部や関係者から怒りの声が相次いだ。

 朝青龍は、燃えていた。2場所ぶりの優勝を狙う夏場所初日は、2日後に迫っている。朝、満を持して自宅から向かったのは、幕内朝赤龍らが汗を流す高砂部屋…ではなかった。東京都内から1時間以上車を走らせ、たどり着いたのは千葉県内のゴルフ場。部屋の朝げいこを休み、念願のゴルフコンペを開いた。

 4日に「場所前にモンゴル人を集めてコンペをする」と宣言していた。予告通りの行動だ。ただ、あまりにも時期が悪い。場所直前の大事な時期、プレー中にケガをする危険がある。朝青龍は持病の「左ひじ痛」を訴えているのに、だ。さらに、今回はそれ以上の問題があった。10人前後の参加メンバーに中には、部屋のけいこが休みだったとはいえ、横綱白鵬や新小結鶴竜もいたのだ。

 この日の取組編成会議で、朝青龍は初日に鶴竜との顔合わせが決まった。西横綱が東小結と初日に対戦することは通例。2日後に「真剣勝負」することが確実な相手を、朝青龍は誘ったということだ。関係者によれば、ゴルフをしない鶴竜は、朝青龍の後をついて歩いていたという。普段から鶴竜をかわいがっているだけに他意はないだろうが、周囲に誤解を招く行動。「非常識」とも映る。

 07年に始まった週刊誌の「八百長」騒動に対して相撲協会は訴訟を起こし、裁判にまで発展した。3月26日には、東京地裁が朝青龍ら力士と協会の全面勝訴判決を下している。だが、世間の目はまだまだ厳しい。場所直前に戦うことが分かっている相手と“親睦(しんぼく)”を深めている姿を見れば、「色眼鏡」で見られても仕方がない。

 しかも、優勝争うライバル白鵬は朝青龍と一緒にラウンド。思わぬ「前哨戦」に、協会幹部もまゆをひそめた。白鵬と同じ立浪一門の友綱理事(元関脇魁輝)は「こんな恥ずかしい話はない。場所が始まるというのに、完全に水を差された。もっと時期というものを考えてもらいたい」と激怒。白鵬の師匠の宮城野親方(元十両金親)に電話で注意した。参加力士を把握し次第、9日以降にも各師匠に注意する考えだ。

 九重広報部長(元横綱千代の富士)は「もっとピリピリしているはずだが、そんなに余裕があるのかな。(現役時代の)私なら行かなかった」。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「気分転換じゃないの」と言うにとどめた。

 ラウンド中は報道陣をシャットアウトしたが、プレー中は白シャツにベージュの短パン、赤いサンバイザーの朝青龍は、ご機嫌だったという。ゴルフ場に入る際は報道陣に「お前らもやるか?」などと話すお気楽ぶりだった。アップダウンの激しいコースを歩き、痛めた左ひじを振り回した「決起集会」は、本人たちにとっては予想外の波紋を呼んでしまった。【近間康隆】