大相撲の力士暴行死事件で傷害致死罪に問われ、1審名古屋地裁で懲役6年を言い渡され、控訴した元時津風親方の山本順一被告(59)が、07年10月に解雇された日本相撲協会に対し、最近になって退職金を請求していたことが3日、分かった。同協会は5月28日に開いた定例理事会で討議したが、返答を保留している。

 相撲協会は財団法人の規則にあたる寄付行為を2月に一部改正。解雇処分された親方、力士は理事会の決議によって退職金などを支給しないか、減額できる規定を新設した。

 しかし、山本被告が解雇されたのは約2年前で、関係者によると、新たに改正した寄付行為の規定は適用されない可能性が高いという。退職金の額は2000万円前後とみられる。

 同協会の武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「(請求は)意外だが、わたしからは何とも言いようがない」と話した。山本被告の弁護士は、この件にはコメントできないとしている。

 力士の退職金にあたる養老金の問題では、大麻所持容疑で逮捕されて昨年8月に解雇処分となった元若ノ鵬が請求し、約580万円を受け取った。一方、同容疑で逮捕され、2月に解雇された元若麒麟は受け取りを辞退した。いずれも退職金、養老金支給についての寄付行為改正前だった。