<大相撲九州場所>◇2日目◇16日◇福岡国際センター

 まさかの連勝スタート?

 大関千代大海(33=九重)が、関脇鶴竜(24=井筒)を会心の押し出しで下して2勝目を挙げた。自身の持つ史上ワースト記録更新となる14度目のかど番で迎えた今場所。場所前には「関脇陥落でも現役続行する」と弱気な発言をしていただけに、想定外の好発進だ。

 千代大海が、久々に笑顔を輝かせた。相手は成長著しく、対戦成績も5勝3敗と合口もよくない鶴竜。だが「向こうの力を出させないようにと思ってね」。相手に先んじて頭から当たると、左のど輪、右はず押しで一気に土俵外へ。全盛期をほうふつとさせる会心の取り口に「ここ数場所で久々だ」と苦笑いした。

 開き直りが奏功した。史上ワーストとなる14度目のかど番となった今場所前に「負け越しや休場で関脇に陥落しても引退はしません」と明言。恥も外聞も捨て、相撲を取り続けることを選んだ。この日の立ち合いは2度合わなかったが「お客さんから『自分の間合いで立てよ!』って声が聞こえて。その通りだなと思った」。退路を断って土俵に上がったことが、逆に気持ちの余裕を生んだ。

 仲間の声援も大きな力になった。「今日、田舎から同級生が何人か来ていたんだよ」。中学までを過ごした地元大分市では金髪にそり込みを入れ、札付きのワルとして名の通った存在だった。「もう33(歳)だからね。みんな、いいパパだよ。ま、目つきだけは鋭いけどな」。悪友たちの前でだけは、ぶざまな姿を見せるわけにはいかなかった。

 悪い記録ばかり取りざたされがちだが、今場所で大関在位65場所目を迎え、大関としては最長記録を更新中。在位中の連勝スタートは40場所で、このうち32場所で勝ち越している。それでも「喜びすぎず、明日のことを考えてね」。予想だにしなかった連勝発進にも気を緩めるはずもなかった。