文部科学省がついに日本相撲協会人事への「介入」を示唆した。角界の改革を担う「ガバナンス(組織統治)整備に関する独立委員会」のアドバイザーなどを務める望月浩一郎氏(53=弁護士)の契約が一時解除されたことで11日、協会に対して事情説明を求めた。契約継続の報告を受けたスポーツ青少年局競技スポーツ課の芦立訓課長は、委員会メンバーや役割の交代について今後は事前に報告するように求めた。改革の後退を危ぶむとともに、あらためて外部中心による改革を強く要望した格好だ。

 「改革進めていくのが大前提。委員会のメンバーの交代、役割に変化があるなら、事前に報告していただくように強くお願いした」。芦立課長は報告という表現だったが、今回のようなことがあれば、差し戻しもあり得るのは間違いない。ついに相撲協会への人事介入を示唆したと言える。監督団体で委員変更の報告を求めるのは「極めてイレギュラー」と付け加えた。

 待ったなしの角界の改革へ向けては、特別調査委員会と独立委が両輪となっている。望月氏は調査委と独立委アドバイザーを務める。その中心人物が途中で一時的ながらも契約解除される事態に、文科省も黙っていられなかった。芦立課長は「両座長が反対するようなことをやることがどうか。座長から改革が後退してしまうと言われるような行為をすることに問題がある」と指摘した。

 前日は約3時間ほどの間に、契約解除から契約続行に覆った。この日、文科省に事情説明に出向いた相撲協会側は、両委員会座長に「契約解除の意向」をメールしたが、返信がないことで了解と判断したと説明。出羽海事業部長(元関脇鷲羽山)は「言葉の行き違い」、陸奥広報部長(元大関霧島)は「連絡がうまくいっていなかった」などとしどろもどろの説明に終始した。

 文科省はそんな経緯は問題にせず、改革への姿勢とスピードを問題視した。芦立課長は「せっかく力士が努力して社会的な信頼回復に努力している中で、執行部がそれをぶち壊すことがあっては元も子もない。ガバナンス上の問題。結果として改革する意思がないんではというようなことを外に向かってなぜするのか」と疑問を呈した。

 さらに「川端大臣も大変心配されている」と言ったが、独立委の奥島座長は「大臣も怒っているようだし」と話した。大臣の強い意向を受けての人事介入通告だ。陸奥部長は「協会の方を大変心配していただいているので、しっかりしていかないといけないなと思いました」と力なく答えた。