夏場所で初優勝を飾った西前頭7枚目の旭天鵬(37=友綱)が21日、都内の友綱部屋で一夜明け会見を行った。周囲からは祝福の嵐でさすがに疲れた表情だったが、素直に喜びをかみしめた。名古屋場所で三役に昇進となれば、高齢記録に名を連ねるだけに意欲を示した。

 前夜の涙から一転、旭天鵬の顔から笑みが消えることはなかった。「朝になって、1面に載ってる新聞や、お祝いの電話で本当に優勝したんだなと実感した」とかみしめた。夜のうちに携帯電話の充電は切れてしまったが、着信は50件、受信したメールは150通に及んだ。千秋楽のNHK相撲中継の視聴率は20・4%(ビデオリサーチ調べ、関西地区は16・5%)を記録した。20%超えは横綱白鵬と横綱朝青龍が決定戦を行い、朝青龍が優勝した09年秋場所千秋楽以来だ。

 旭天鵬は名古屋場所(7月8日初日、愛知県体育館)で三役昇進が濃厚。37歳9カ月で初日を迎える。関脇・小結になれば年6場所が定着した1958年以降で、高見山に次ぐ第2位の高齢記録。昭和以降でも第5位だ。優勝の美酒をまた味わいたいかとの問いには「祝福されるし、また味わってみたいかな」と笑顔を見せた。ケガや内臓の弱さもなく、健康そのもの。衰え知らずだ。

 23日にモンゴルに帰省し、25日には帰国予定。高齢記録だけでなく、勝ち星、出場記録の更新を目標に鉄人は地道に歩を進める。【高橋悟史】

 ◆高齢関脇・小結力士

 年6場所制が定着した1958年以降、最高齢は82年秋場所に小結だった高見山の38歳3カ月。旭天鵬は第2位。昭和以降での最高齢は1936年に大関から陥落し、40歳7カ月で小結だった能代潟。昭和以降でも旭天鵬は第5位。