広島キャンプを訪れ、緒方監督(左)と談笑する梨田昌孝氏(撮影・栗木一考)
広島キャンプを訪れ、緒方監督(左)と談笑する梨田昌孝氏(撮影・栗木一考)

阪神は広島の連覇をストップできる? 4年ぶりに日刊スポーツ評論家に返り咲いた元楽天監督の梨田昌孝氏(65)が12日、丸が巨人に流出した広島キャンプに潜入し、緒方監督から「1番から3番までの打順に悩んでいる」との本音を引き出した。独走に歯止めをかけるべく、未知数な先発ローテーションにも付け入るスキを見つけた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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日南はポカポカ陽気だった。強い日差しの天福球場。フェンス越えを連発していたのは鈴木誠也だ。飛ぶわ、飛ぶわ。こちらが日焼け止めを塗るのを忘れるぐらい、ほれぼれする打球が飛んでいくではないか。

新たにつけた背番号1がまぶしい。さらに体格も大きくなったようで、詰まった当たりも左中間スタンドに突き刺さる。グラウンドに降りて「体が重く感じないか?」と聞くと「大丈夫です」。今シーズンも30本から35本は打ちそうだ。

昨季の阪神は、この広島に20ゲーム差をつけられた。これを引っ繰り返すのは並大抵ではない。でも、今シーズンは「3番丸」が流出した。単純に打率3割6厘、39本塁打のバッターが抜けるわけで、戦力ダウンは免れないのではと思ってしまう。

そこで緒方監督を直撃すると「1番から3番をどう組むか悩んでるんです」と正直な答えが返ってきた。昨季は、タナ(田中広)、キク(菊池涼)、マル(丸)が基本形だったが、これが崩れた。オーダー再編を迫られた監督の心情は痛いほどわかる。

もちろん打線を固定できればベストだろう。しかし今年は左右のピッチャーによって替えざるを得ないのではないか。例えば、右投手の場合は、野間が1番、左投手なら1番菊池涼、3番長野とかね。

わたしとしては、1番から3番までの並びも注目しているが、4番鈴木に続く5番をだれが打つのかも興味深い。いろいろ組めるのは戦力層の厚さといえるが、そこにスキが見え隠れする。

またシート打撃では、ジョンソンは安定していたし、大瀬良もそこそこ。でも問題は、そこに続いて投げるピッチャーだ。野村はボールの出し入れで勝負するタイプだが、球筋は定まっていない。現時点で先発ローテーションは未知数といえる。

阪神にとって、広島は開幕からヤクルト、巨人に続く3カード目に対戦する相手。先発ピッチャーを早めに攻略して、チームに弾みをつけたい。(日刊スポーツ評論家)

梨田氏(右)と握手を交わす鈴木誠也(撮影・栗木一考)
梨田氏(右)と握手を交わす鈴木誠也(撮影・栗木一考)