阪神が連敗を「4」で止めた。先発西が投打にわたる活躍を見せ、4回には5得点と打線がつながった。セ球団との対戦は一巡し、開幕15試合で6勝9敗。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏が現状を解説した。

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矢野新監督になった阪神のカード一巡は、6勝9敗の借金「3」だった。

梨田 開幕から相手チームがサヨナラ暴投を犯したり、信じられないミスが続いて白星が転がり込むなど、ラッキーなゲームが目立った。勝ちきった印象は乏しく、5カードを戦ったチームに地力は感じなかった。特に打つほうは、この日の中日戦でみせたように“つなぎ”で勝っていくしかないだろう。

1点を追う4回1死二塁、5番福留が吉見の初球を打って、一、二塁間を抜いた。

梨田 その前の大山が遊ゴロに終わって、全体的な雰囲気が重くなった。そのムードを一変させたのが福留だ。大山が凡退した直後の1球目、一振りで同点に持ち込んだ。前の打席でフォークのボール球に空振り三振を喫したから、ややゾーンを上げて初球を狙ったのは、さすがベテランの読みだ。

この回は6長短打を集中して5点を奪った。ただ得点に至ったのは、このイニングだけだった。

梨田 なんとか得点力を上げたいが、新人近本に使えるメドが立った、というより使っていくべきだろう。長打力に乏しいチームだけに、足の速い近本を積極的に起用したい。また梅野の成長も見逃せない。西のモーションがやや大きいのもあって、不意を突かれて盗塁を許す場面もあったが、捕手の固定は今後に生きるとみる。

近本は打率2割8分9厘だが、中日3連戦を含めて起用された「1番」では3割7分5厘にはね上がる。

梨田 あとは大山にかかっている。チームとしてはこの日のように4回の5点だけでなく、なんとか「あと1点」を奪って、抑えにつなぎたい。広島の出足が芳しくなかったように、野球には想定外のことが次々と起きるものだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】