日本ハム吉川は、移籍後初登板の緊張感もあっただろうが、「大胆さ」に欠けた投球になったことが気になった。最大の持ち味は、強い直球で押せることなのだが…。

序盤はストレートに打者が振り遅れ、ファウルが取れていた。しかし失点した3回は一転、「丁寧さ」が出た。きっかけは1死一塁で投じた、秋山への2球目だったように思う。外角への直球が、左翼方向へいい当たりの打球でファウルになった。そこから3球連続ボールで四球を出し、外崎の3点適時打へとつながっていく。たった1球のファウルで、気持ちが引いてしまったように見えた。

2番手の玉井、続く井口は、いい「大胆さ」でどんどんとストライクゾーンに投げ込み、相手に傾いた流れを食い止めた。打者は「丁寧に」投げられることはそんなに嫌じゃない。「大胆に」来られる方がよっぽど嫌なものだ。吉川本人は、外崎に痛打を食らったチェンジアップの制球ミスを悔いているかもしれないが、「大胆さ」を消してしまったそこまでの過程を反省してもらいたい。

攻撃陣では、清宮が3試合ぶりにスタメン出場した。最近の出場10試合、22打数で14三振と苦しんでいる中、この日の3打席はすべて、初球から振りにいった。ファーストストライクを打ちにいくことはすごくいいことなのだが、「三振をしないための初球打ち」ではダメ。あくまで自分の形で、いい打球を飛ばすためのスイングであってほしい。清宮に関しては、ベンチも三振を容認している。三振でもいいから、相手に怖さを感じさせるスイングを見せていって欲しい。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)