ソフトバンク内川は本当にポストシーズンに強い。その極意を聞いたことがあったが「シーズンと違って打率を気にしなくていい。1打席1打席、切り替えて勝負できる」と言っていた。集中して打席に入れている結果なのだろう。

岸からの適時打は、外角直球を右前に運んだ。そこに来ると読みきっての打撃だった。岸との相性もいいが、内川はコントロールがいい投手から良く打つ。高い技術があるから配球を読めれば安打にできる。決して強振せず、冷静に安打にして同点にすることを優先した。

宋家豪からの決勝弾は、チェンジアップに反応して球を上げた結果だった。楽天が2イニング連続で得点機を逃した後の攻撃の先頭打者。出塁を考えながらも、来た球に反応した結果だろう。2年前の日本シリーズでDeNAの守護神山崎のシンカーをすくい上げて同点本塁打を放った、あの打撃を思い出した。

攻守で記録に表れない「ミス」をしなかったから、崖っぷちから連勝できた。バントで遅れなかったり、走者を進める打撃ができなかった楽天とのほんの小さな差で勝利をつかめた。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対楽天 7回裏ソフトバンク無死、内川は左越えに勝ち越しソロ本塁打を放つ(撮影・栗木一考)
ソフトバンク対楽天 7回裏ソフトバンク無死、内川は左越えに勝ち越しソロ本塁打を放つ(撮影・栗木一考)