プロ野球は新型コロナウイルスの感染拡大で20日に予定されていた公式戦開幕を延期し、各球団は無観客の練習試合で先行きの見えないシーズンに備える。

ソフトバンクはロッテ戦(ペイペイドーム)を翌日に控えた19日、同球場で全体練習を行い、工藤公康監督(56)は練習試合を若手サバイバルの「延長戦」と位置づけた。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(50)はレベルアップ、競争の時間が増えたと捉えるべきと説いた。【取材・構成=浦田由紀夫】

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プロ野球界が経験したことがない状況となっている。開幕日すら見えないが浜名氏は、すべてをプラスに考える必要性を説いた。

浜名氏 マイナスばかり考えても仕方ない。すべてを前向きにとらえることが必要だろう。

今年は東京五輪開催の影響で、開幕が約1週間早まった。逆算してオフから調整してきた選手にすれば、さらに調整期間が延びた。

浜名氏 選手によって状況は違うだろうが、打撃でいえばまだ自分の形を固めることができなかった選手は、調整時間が増えることになる。また、ある程度形はできている選手でも「まだ試したい」と思っている選手は、さらなるレベルアップとしてフォームの見直し、作り直しにもチャレンジできる。スタート地点は見えないが、およそ1カ月伸びたことをチャンスにしてほしい。故障者も復帰への道が開けたと思ってほしい。

メリットは首脳陣にもある。開幕ローテーションについてはある程度固められているが、野手については若手の台頭で決められない悩ましい状況ではある。

浜名氏 「テスト期間」で合格した若手メンバーも、開幕後に「ボロ」が出るケースは多い。「テスト期間」が通常より増えるのは、首脳陣にすればプラスになる。若手選手は逆に「ボロ」を出さないために必死になる。競争意識が続くのは決して悪くない。

ベテランはせっかくいい調子できているのにさらに調整が延びて厳しい状況にはなる。

浜名氏 気持ちが切れるのが一番怖い。緩みがちになるだろうが、大観衆の中でプレーするイメージを切らさず、これからの無観客の練習試合で戦っていってほしい。