阪神にとって青柳の不調は誤算だった。5回を投げて9安打8失点で降板。これで自身4連敗を喫し、負け数(7敗)が、勝ち(6勝)を上回ってしまった。
今シーズンの青柳からは成長が感じられた。しかし9月に入ってから調子を落とした。シーズンのなかで好不調はあるが、ここで青柳に感じてほしいことがある。
先発ローテーション入りするピッチャーには、2つの大事なことがある。まず1つ目は1年間ローテーションを守り続けること。これは西と青柳には合格点を与えることができる。
もう1点は、前半にゲームをつぶしてはいけないということだ。この中日戦がそうだった。四球に失策が重なっての失点で、守りも守りだが、ここはすぐには解消できない。
なぜ青柳が立ち上がりから失点するかというと、調子がいいときは好投できるが、うまくいかないと試合を作れない。そこは自分を自分で見られていないからだ。そこはこれから勉強していく必要がある。
マウンド上の青柳は、無難にいえば慎重に投げていたということになるのかもしれないが、わたしに言わせれば「まずいな」「やられそうだ」とか、自信なさげに見えていた。
これから青柳がステップアップするためには、自らを客観的に見ることが必要になってくる。これって簡単なようで、簡単ではない。残り試合でも心掛けてほしい。
さて中日大野雄に対した阪神打線は、わずか2安打に抑えられ二塁も踏めなかった。今の大野雄の内容では、どのチームもそうは打てない。まずここ数年でもっともコントロールが良いからだ。
まず対大野に関しては、一般的な見方とは異なって左打者のほうが相性が良い。この試合までの「阪神打線対大野雄」では、右打者は打率2割5分にとどまっていたが、左打者になると3割7分5厘まではね上がる。
わたしは阪神の左バッターが打つことができれば点が取れると思ってみていた。左のボーアにヒットがでたし、近本も悪くなかったが得点には至らなかった。逆に右バッターがやはり完璧に抑えられてしまった。
どの右打者もインコースを意識させられているから外角球にも簡単に手が出ない。サウスポーの典型的なパターンにはまった。自在に操られ、見下されている感じさえ受けた。
阪神はここにきて選手の大量入れ替えもあって、厳しい戦いを強いられている。ただ梅野が帰ってきたから少し落ち着くだろう。
(日刊スポーツ評論家)