ここまでの阪神キャンプは打つことばかりが話題になっている印象が強かった。だが実際に沖縄を訪れてみたキャンプの内容からは、それだけではないことが把握できた。

練習前、阪神糸井(左)と言葉を交わす梨田氏(撮影・前田充)
練習前、阪神糸井(左)と言葉を交わす梨田氏(撮影・前田充)

午後からの紅白戦で目に留まったのは「4番大山」の走塁だ。2回に左二塁打で出塁した大山は、続く原口が放った三ゴロの間に三塁に進んだ。なんでもない走塁のように見えるがこれが大きい。

原口が打った瞬間、二塁走者の大山は次の塁を狙おうとタイミングを計っていた。この姿勢がいい。またこれを「4番」がやることでチームへの波及効果が期待できる。

原口文仁の三ゴロで好スタートし三塁へ滑り込む大山悠輔(撮影・上田博志)
原口文仁の三ゴロで好スタートし三塁へ滑り込む大山悠輔(撮影・上田博志)

1死三塁になった後、北條の詰まった適時二塁打で1点が入った。大山の走塁はノーアウトの場面ではなかなか行きづらいものだ。積極的な走塁をしてみせたところにキャンプの収穫を見た。

午前中のブルペンでは西勇、秋山ら主力のピッチングがチェックできた。新加入のチェンも角度のある球を投げ込んでいた。先発の頭数はそろうだろう。キーになるのはスアレスにつなぐ中継ぎ陣だ。

ブルペンで投球する阪神スアレス
ブルペンで投球する阪神スアレス

ここを外国人投手でカバーするのか、それとも違った人材でまかなうつもりかは監督の腹次第になってくる。個人的にはリリーフで計算のできる若手を1枚作るべきと思っている方だ。

またドラフト1位佐藤輝は対サウスポーにもある程度の対応ができるだろう。これから右投手のクロス気味に入ってくる球速145キロ以上のインコースをいかにさばくかをチェックしたい。(日刊スポーツ評論家)

サーキットトレーニングで汗を流す佐藤輝明(撮影・上山淳一)
サーキットトレーニングで汗を流す佐藤輝明(撮影・上山淳一)