阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22=近大)が4回に5号2ランを放ち、新人では72年佐々木恭(近鉄)以来49年ぶりの快挙となった。

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開幕カードの相手ということで、ヤクルトの投手陣は、かなり厳しく攻めていた。佐藤輝はセンターから左方向に4本塁打。インコースをどれだけさばくか。この日の対戦では、相手首脳陣も資料集めの一環という意味合いがあったはずだ。

3回の2打席目は、スアレスはすべてインサイドを突いてきた。4球目のスライダーは膝元からボールになる球で一番いいところに決まった。最後は内角へのカーブで空振り三振だが、次の寺島からは内角球にしっかりと対応した。つまり内角一辺倒では抑えられないことが分かった。スアレスが続投していても、結果は変わらなかったと思う。相手バッテリーは内、外に球を投げ分けながら、組み立てる必要があるし、内角を使うにしても、150キロ前後の球を持つ投手ならインハイ、持たない投手は低めへの変化球という選択をしなければならないだろう。内角に投げれば抑えられるという感じではない。ヤクルト側はどこに穴があるかを探ったが、結果としては見つからなかったのではないか。これからスコアラーは大変になる。

新人というのは、どこかに弱点があるものだが、佐藤輝に関しては、主力打者と対戦する時のような配球が求められるだろう。今は自分の間で打席に立てており、投手にタイミングを合わせているのではなく、投手が佐藤輝の間に合わせている雰囲気がある。重圧のかからない6番で起用されているが、1カ月も経てば、間違いなく3番に座っているだろう。それだけの実力の持ち主だ。(日刊スポーツ評論家)