カープにとって、大きな価値のある1勝になった。攻撃面では6回に田中広がきっちりとバントを決め、菊池涼が1打席目にやられている内角シュートを狙い打った。ワンチャンスをモノにし、鈴木誠は2つの好守で二塁をアウトにし、相手に流れを渡さなかった。田中広、上本のけん制死は苦手にしている西勇を楽にしたという点では反省点だ。

守りでも、昨年の課題である中継ぎ、抑えが0点に抑えて逃げ切った。昨年はことごとく接戦で痛い目を見た。監督も反省を踏まえた上で、重きを置いて臨んだシーズン。形がハマっての勝利。投手陣が昨年とは違う形を見せたことは明るい材料だ。首脳陣も手応えを感じているだろう。

先発の森下は内容的には良くなかった。ストレートの球威はあったが、本来なら、もっと直球を右打者のインサイドに突いていける。抜けのいいチェンジアップも投げられたはずだ。この日はカーブが高めに抜けて、ボール先行になった。状態が良くない中で、6回を無失点に抑えた。先発陣の軸として、今季初戦で勝利投手になったのは、今後を戦う上で、精神的にも大きい。(日刊スポーツ評論家)