98年横浜の日本一監督で日刊スポーツ評論家の権藤博氏(82)が、巨人に完敗した首位阪神の戦いにカツを入れた。大山の4番上げ下げや、佐藤輝の4~7番など、主力のオーダー変更を疑問視。「首位にいるのだから、堂々とどっしり戦え」と指摘した。故障者続出でも勝つ原巨人の不気味さも指摘した上で、「勝負はもっと先」と展望した。

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阪神は降雨コールド勝ちから一夜明け、勢いをつけるどころか完敗した。両軍とも打線を組み替えたが、伊藤将がつかまった。

権藤 阪神にとってこの3連戦は、すでに一つ勝ったことでとりあえず目標は達成している。カード初戦は巨人が攻撃中だった7回表無死二、三塁で、急に雨がザーッときて終わった。危なかったからいい勝ち方だったし、ここは3連敗さえしなければいいわけです。2戦目はいかに組むかだったが、もっと堂々と戦えばいいのにと思ってしまったね。

6月29日のヤクルト戦(甲子園)で4番から6番に打順が下がった大山悠輔内野手(26)はその後、下位の7番を経て、前日9日の同カードは5番だったが、この日から再び4番に戻った。

権藤 「4番」というのはチームの顔なんです。そんな軽いものじゃないと思ってるほうです。ホームランが出たから「4番」に戻すって、大山に託したのなら、彼を固定して任せることはできませんかね。それを4、5、6、7番…って、どうなんでしょうか。あれだけ怖がられてる佐藤輝にも、同じことが言えるでしょう。今年の阪神は強い。首位にいるんだから、もっとどっしり戦ったらいいんじゃないのかね。

伊藤将が制球を乱した1回の1イニング4四死球はプロ初。いきなり4点を献上すると、3回にウィーラー、4回は坂本に本塁打を浴びて加点された。

権藤 巨人は中日柳に抑えられるなど、ここのところストレートが打てなくなっていた。初戦の秋山も打ち崩せなかった。でも伊藤将はボールが先行して、そのストレートをまんまと狙われる。巨人が頻繁に打線を替えるのは、不調に輪をかけて故障者も続出しているからだが、メンバーを替え過ぎると負けるものだが、こうやって勝ってしまうのが原巨人なんだよ。

前半戦最終のTG戦は1勝1敗。東京五輪開催のため、次回の直接対決は、9月3日からの3連戦までない。

権藤 勝負はもっと先になる。A、Bクラスが鮮明になってきたし、とりこぼさないことだ。つまりこの後のDeNA戦をちゃんと締めくくることだ。不安は終盤のリリーフだけど、守りに入らないことだね。【取材・構成=寺尾博和編集委員】