阪神はヤクルト・マクガフの大不調のおかげで土壇場でタイに持ち込むことができた。巨人も敗れるうれしいオマケ付きだ。
梨田 阪神は俗にいう勝ちに等しい引き分けになった。巨人戦も連勝後、5日のカード3戦目に6点ビハインドを追いつくなど、信じられないような展開が目立つ。いわゆる“もってる”ということだろう。ヤクルトは石山、マクガフが誤算で痛すぎる引き分けだった。これだけ後ろが不安定だと、阪神を追いかけるのは厳しいかもしれない。マルテの3点本塁打には2つの伏線があった。ひとつは7回の打席だ。
7回。1点を返してなおも無死一、二塁。今野に対したマルテは1ボールからの2球目、左翼ポール上をいく本塁打性のファウルを放っている。結局2ボール2ストライクからのフォークに捕邪飛だった。
梨田 ヤクルトが3点リードの9回1死一、二塁でマルテを迎えた場面、捕手の中村には7回に高めの球を大ファウルされていた残像があったはずだ。だからここは低めの球で勝負しようという心理が働いた。もう一点はホームランを打たれる直前の3球目カットボールのストライクを平然と見逃されたことだった。まるでストレートを待っているかのようにだ。
9回1死一、二塁。マルテのカウントは2ボール1ストライクになった。
梨田 次の4球目に中村は同じカットボールを要求するわけだが、実はマルテはストレートでなく、そのカットボールを読んでいた。つまりマルテのヤマが当たったホームランだったといえるだろう。青柳も打たれ、攻撃も残塁が多かったが、マルテに救われた。あとは「7回」を任せる人材を固めたい。
【取材・構成=寺尾博和編集委員】