昨年見たソフトバンクキャンプでのシートノックは、いつまでも見ていられるほど、内容が詰まっていた。緊迫感があり、常に声の連係が飛び交い、一瞬も気が抜けない。引きつけられるほどの濃さを感じさせてくれた。
今年はどこか違う。松田不在(コロナ感染の影響で福岡・筑後スタート)の影響がすべてではないだろうが小久保、松田とつながってきたホークスならではのリーダーの系譜は、このチームには重要だ。空気を引き締め、集中力を高めるスイッチを入れる役割を担ってきた。
この日は松田がいないことで、かえって「ポスト松田」不在が際立ってしまったように見えた。確かに声は出ている。他球団と比べてもひけは取らない。しかし、これまでのホークスを見てきた者からすると「普通だな」というレベルだった。
昨年なら、順番を待っている選手も、グラウンドの選手に絶えず声をかけていた。むしろ、順番待ちの選手同士で確認事項を声がけする熱気と、高い集中力があふれていた。その姿を知るだけに、物足りなさを受けた感覚はごまかせない。
キャンプ2日目のシートノックに、そこまでの精度を求めるか、と感じるファンの方もいるかもしれないが、このチームカラーはホークスオリジナルのもので貴重だ。一方で、失われていく過程は短時間で、驚くほどあっさりだ。
わずかなミスも許さない締まった空気感。隣接する2軍グラウンドから絶えず響く覇気ある声。これこそが、常勝ホークスのベースだと思う。2軍からの声も、今年はほとんど聞こえてこなかった。全体的に、どこかにスキが見えてきそうなこのムードが、とても気になった。(日刊スポーツ評論家)




