3位巨人が山形で26日の自力V消滅ショックを一層した。2番丸が決勝2ラン、5番坂本がダメ押し2点二塁打を放つ中、日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)は左翼手ウォーカーの2つの状況判断を高評価。「一筋縄ではいかない」という外国人選手の守備意識改革を進める、亀井外野守備兼走塁コーチの指導力をたたえた。【聞き手=佐井陽介】

   ◇   ◇   ◇

巨人左翼手のウォーカー選手は状況判断が格段にアップしていますね。もともと来日直後から守備の評価は高くありません。今もお世辞にもうまいとは言えませんが、この日見せた2つのプレーには「意識改革」の跡がはっきりと感じられました。

1つ目は1点リードの2回1死一塁。スタートを切っていた一塁走者A・マルティネス選手が、左中間に落ちる安打で一気に本塁を狙った場面です。ウォーカー選手は体勢が悪いまま捕球すると、カットマンへの素早いショートスローを選択。遊撃坂本選手の好返球もあって、間一髪の本塁封殺をアシストしました。

2つ目は同点で迎えた4回2死一、二塁。詰まり気味のライナーにチャージすると、今度はノーバウンド送球で間一髪の本塁封殺を再びもぎ取りました。捕球体勢と送球距離を判断して、先ほどとは打って変わって、体を大きく使った送球をチョイス。どちらのプレーも最善の状況判断を下したように映りました。

自分も昨季まで現役でプレーしていたから分かります。外国人選手の守備に対する意識を向上させる作業は、決して一筋縄ではいかないものです。捕る、投げるは少しずつ上達させられても、染みついた考え方や文化まで改善させるのは至難の業だったりもします。そういう観点で見れば、ウォーカー選手は外野守備を担当する亀井コーチと強固な信頼関係を築けているのでしょうね。

外野守備コーチと聞けば、どうしてもポジショニングを指示する姿を思い浮かべがちです。一方で、常日頃から選手とコミュニケーションを図り、意識を向上させていく仕事も重要な役割といえます。ウォーカー選手のプレーに喜ぶ亀井コーチの姿を見ながら、コーチのあり方、存在意義というモノを再認識できた気がしました。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 4回表に好守備を見せ、ナインに迎えられるウォーカー(左)(撮影・河田真司)
巨人対中日 4回表に好守備を見せ、ナインに迎えられるウォーカー(左)(撮影・河田真司)