まずは日本ハムのルーキー上川畑をたたえたい。守備には定評はあったが、1軍昇格後、得点に絡む選手になっており、出塁を意識して、追い込まれると相手の決め球など変化球を意識しながら直球をファウルで逃れたり、対応ができている。攻守ともにしっかり状況を考えながらプレーしており、ルーキーらしからぬ野球脳を持っているなと感じる。

捕手の古川裕は(8月27日に)ノーヒットノーランを達成した時のポンセと、違った意味でよくリードしていた。スライダー、カット系の球を初回に打たれ、制球も良くなかったため、そこからシフトチェンジし、直球とツーシーム系の球を増やし、調子の悪かったポンセを悪いなりに引っ張れた。

その中で1つだけ気になったのは、悪いカット、スライダー系を初回以降はほぼ使うことがなくなっていた。悪い球種を封印するのは簡単だが、1ストライク後などボールになってもいいカウントで投げさせ、その球を修正させるという引き出しも同時に持ち合わせてほしい。悪い球を使える球にしていくために、ボールになっていいカウントで使っていってあげることも必要になる。

9回に登板した石川直はこの日、直球の走りが良くなく、捕手は1点差ということもあり直球のサインを出しにくかった。急にシーズン中に良くなるものではないが、手術明けというのもあり、今後の課題として直球のレベルをもう一段階上げてほしい。捕手が1点差でも勇気を持って直球を投げさせられるような形にならないとクローザーは厳しくなる。課題が明確になっているのは取り組みやすく、それをプラスに捉えてほしい。

チームは最下位が決まったが、今季はありとあらゆる作戦、ラインアップ、使う選手も試し、BIGBOSSはぶれずにやり切っている。まだ終わってはいないが、手応えはチームの中で必ず感じているはずだし、最下位になるリスクを冒してもやりきっているのだから、特に失敗したことは、勝つシーズンとなる来季に生かしてほしい。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対ロッテ 2回裏日本ハム2死一、二塁、勝ち越しとなる適時三塁打を放つ上川畑(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ロッテ 2回裏日本ハム2死一、二塁、勝ち越しとなる適時三塁打を放つ上川畑(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ロッテ 8回裏、生還した近藤を出迎える新庄監督(撮影・黒川智章)
日本ハム対ロッテ 8回裏、生還した近藤を出迎える新庄監督(撮影・黒川智章)
日本ハム対ロッテ 4回表、落球により同点を許した今川(左手前)に声をかけながらベンチに戻るポンセ(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ロッテ 4回表、落球により同点を許した今川(左手前)に声をかけながらベンチに戻るポンセ(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ロッテ 3回表、笑顔で引き揚げるポンセ(撮影・黒川智章)
日本ハム対ロッテ 3回表、笑顔で引き揚げるポンセ(撮影・黒川智章)