中日はDeNA戦での今季初勝利を挙げた。攻め手を欠く中、何とかしようとする姿勢が感じられた。

石川昂のソロで先制。追加点がほしい7回無死一塁。ビシエドの代走高松はガゼルマンのけん制に飛び出すも、そのまま走り抜いて間一髪で二塁を奪った。

挟まれたことは良くない。だが止まったり、戻ったりせず、思い切って走りきったところに勝機を見いだした。

立浪監督が耳打ちしていたが、大島は進塁打を打てず投ゴロ。ここでも高松は二、三塁間で挟まれ、さらに転びながら、三塁にヘッドスライディングして打者大島の二塁進塁への時間を稼いだ。どの走塁も決して褒められない。だが、ミスにミスを重ねない姿勢に、勝利への気持ちが見えた。

先発小笠原は20日の巨人戦でノックアウトされている。2試合連続でふがいないピッチングはできない。初回から真っすぐでぐいぐい押すピッチングだった。

圧巻は6回1死一、二塁。この時点で4割打者宮崎をカウント2-0から3球続けて内角球で見逃し三振。宮崎の変化球狙い、そして小笠原の真っすぐにタイミングが合っていない点を冷静に見抜いたピッチングだった。

中日は好投する先発を、援護できない課題に、今季も苦しむ。この日も勝ったが祖父江、福、マルティネスの継投で1点を守り抜いた苦しい展開。1点を確実に取りにいく野球を作っていくしかない。

DeNAは交流戦を目前に弱点がはっきりした。強力な攻撃力を備えるが、打てば勝つ、打てなければ負ける、この図式から脱却しないと。打てなくても勝ちを拾える試合を、いくつ作れるかだろう。

8回無死二塁で、代打山本が犠打失敗。リーグでの犠打成功率(25日終了時点)はDeNAは6割8分4厘でリーグ5位(※1位阪神は8割9分2厘)。打線が機能しない時こそ、少ないチャンスで形を作り、得点しないと98年以来の優勝には手が届かない。

小笠原、ガゼルマンともによく試合を作った。石川昂の1発で決着がついたが、どちらに転んでも不思議ではない試合だった。

接戦は細かいところで差がつく。8回の犠打が決まっていればDeNAは負けなかったかもしれない。7回、大島が進塁打を打っていれば追加点により、中日はもっと楽に勝てたかもしれない。(日刊スポーツ評論家)