阪神が今季最長の8連勝を飾り、貯金を今季最多の17に増やした。同点の7回に四球も絡めて一挙3得点。虎OBでもある日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(39)は2番中野拓夢内野手(26)の四球に注目し、投手目線で「タイガース打線の怖さ」を解説した。【聞き手=佐井陽介】

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阪神打線は同点で迎えた7回裏、またも四球絡みで一挙3得点を奪いました。1死一、二塁の場面、2番中野選手が3ボール1ストライクから内角低めの際どいシュート系を見極めて一塁へ。この四球から3番ノイジー選手、4番大山選手の2者連続適時打が生まれました。投手目線で見れば、巨人高梨投手の心情もよく分かります。歩かせてはいけない。でも打たれたくもない。そう考えさせられると、投手はどんどん追い詰められていくものです。

今年のタイガース打線はなかなかボール球を振ってくれません。さらに甘いボールを仕留める確率の高い打者もそろっています。誘い球に手を出してもらえなければ、バッテリーはストライクゾーンで勝負する機会を増やさざるを得ません。一方で、少しでも甘く入れば痛打されてしまう。そうなると当然、バッテリー側の攻め手は一気に限られてしまいます。7回裏の巨人も結局、そんな負のスパイラルに陥ってしまったのではないでしょうか。

現状、阪神打線を相手に打てる手はそう多くはありません。少々甘く入っても問題ない強いボールを投げ込むか、ストライクゾーンで細かくボールを動かして凡打を誘うか、死球も覚悟の上で強く内角を意識させるか。とはいえ、これらのポイントを満たせる投手がどれだけいるか…。しかも上位、クリーンアップ、下位と各ポイントに好調の打者が配置されているのですから、ライバルチームの苦悩も容易に想像できます。

昨季、阪神が選んだ四球は143試合で358個でした。それが今季は46試合終了時点ですでに166個。これはセ・リーグ断トツ、12球団でも最多の数字です。いよいよ首位独走に入りつつあるタイガース。この日も4四球を奪った選球眼が失投、そして集中得点を呼んでいると感じます。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 7回裏阪神1死満塁、大山は左適時2点二塁打を放つ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 7回裏阪神1死満塁、大山は左適時2点二塁打を放つ(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 お立ち台でじゃれ合う阪神才木(中央)と湯浅。左はノイジー(撮影・藤尾明華)
阪神対巨人 お立ち台でじゃれ合う阪神才木(中央)と湯浅。左はノイジー(撮影・藤尾明華)