中日は借金12のリーグ最下位で30日から交流戦に入る。就任2年目の立浪和義監督(53)は大胆な若手起用でチーム改革に着手した。中日OBで日刊スポーツ評論家の権藤博氏(84)は起用法に理解を示す一方、交流戦ではポジション&打順の固定化を提案。さらに出場機会が激減したベテラン、中堅選手らのトレードを要望した。

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シーズン序盤から経験も実績もない若い選手を起用することは容易ではありません。すぐに好結果が出るほどプロの世界は甘くはないですし、当然ミスも出ます。ここ一番で打てない。手痛いエラーが出ることも当たり前と言えば当たり前なのです。

立浪監督はそれを百も承知の上で若い野手を起用しているはずです。指揮官が長期低迷するチーム改革の一丁目1番地として育成路線を選択したのであれば、それは監督権限の行使として尊重されるべきであり、外部の人間がとやかく言うべきではないと考えます。

ただ、「方針」は理解しますが「手段」に関しては私なりの意見があります。経験、実績のない選手を起用するのであれば、ポジションも打順もよほどのことがない限り、固定するべきです。

ここまでの戦いを見ると打順も内、外野のポジションも目まぐるしく変わっています。ただでさえ経験不足の選手にとって、この負担は大きいはずです。もちろん勝敗への影響も小さくありません。育成の観点からもマイナス面の方が大きいと考えます。交流戦は対戦成績のデータ規模も小さくなります。ただでさえ実戦経験が少ない選手が多いのですから、打順もポジションも可能な限り固定すべきでしょう。

一方で球団には若手路線で出場機会が激減したベテランや中堅選手への早急な対応が必要だと考えます。球団にも選手個人にとってもプラスとなるトレードの実現など、可能な限り対処して欲しいところです。改革には痛みが伴います。今後も厳しい戦いが続くと思いますが、若い選手の成長を見守りつつ、これまで頑張ってきた選手に新たなチャンスの場が与えられることも願っています。(日刊スポーツ評論家)