岡田監督の期待が高い門別は確かにそう思わせるレベルだ。この紅白戦で投げた両軍投手は12人。その中でもっともコントロールが良かったと思う。ストレート中心というか、ほとんどそれだけの投球だったが、コース、高低と投げ分け、投げミスがほとんどなかった。

しかも“置きに行っている”わけではなく、しっかり腕を振って投げ、それが捕手が構えたミットのところに吸い込まれる。高卒2年目の投手であることを考えればたいしたものだ。しかも最初から「ストレートを投げる」と話していた上での投球。実際に中野などはファウルで粘っていたが最後はコースに決め、三振に切っていた。

この日を見ただけでも間違いなく好素材といえるが、1つだけ気になる点がある。それはフォームについてだ。プロの投手は走者がいてもいなくても足から上がっていくのが一般的。だが門別は足が上がる前に少し“グラブが流れる”様子が見受けられる。

具体的に言うと、二塁側に少しだけグラブが動く。いわゆる投球のクセだろう。自分もそうだったが、走る選手はそういうところを見逃さない。実際にプロ初登板となった9月15日広島戦(マツダスタジアム)で1死二塁から大盛に三盗をあっさり決められていた。

もちろん、今後、1軍で活躍できるようになるためには変化球の精度を上げたり、配球を勉強したりと課題はたくさんある。フォーム修正もその中に含まれるはず。1つ1つステップを上がっていけば、十分、先発を任せられる好投手になると思う。(日刊スポーツ評論家)

“グラブが流れる”門別啓人のフォーム
“グラブが流れる”門別啓人のフォーム