2年連続最下位だった日本ハムだが、今季は好調なスタートを切っている。

今季は補強も十分で、うまく戦えればAクラスを狙える戦力だと思う。今試合も延長12回からサヨナラ勝ち。勢いに乗っているチームらしい勝利だが、実践している野球は、まだまだ強いチームの戦い方とは言えない反省点が詰まっていた。

やらなくてもいい失点は、2回表だった。先頭打者のアギラーに対してカウント3-1になった。ここでバッテリーは内角へのツーシームで勝負。フルスイングしたアギラーの打球は、左翼線に抜ける二塁打になった。

アギラーはホームラン打者というより、広角に打ってくるタイプ。この手の打者は基本的にコースなりに打ってくるが、打者有利のカウントになると狙い球を絞って長打を狙う。投手はストライクゾーンに投げたくなるカウントであり、内角球は甘くなりやすい。このカウントで、長打になりやすいコースと球種を選択するべきではなかった。

続くコルデロにも最低限の仕事を許してしまった。2ストライクと追い込みながら、低めのフォークを引っかけられて進塁打にされた。外国人打者だし、追い込んだ直後のカウント。三振を狙いにいったのだろうが、次の球で勝負に行くならバットに当てられても引っ張りにくい外の真っすぐか、高めの真っすぐの方がいい。伊藤は捕手のサインに首を振るタイプだし、捕手も経験の浅い田宮。若さが出てしまった。

先取点を奪われるピンチを迎え、ベンチの戦術も悪かった。1死三塁となり、打席に6番の佐藤龍を迎えたが、内野は前進守備ではなかった。伊藤と今井のエース対決であり、序盤とはいえ1点が重い。三塁走者は足の遅そうなアギラーで、前進守備でゴロならホームにはかえれそうもなかった。二塁走者もいない状況で、勝負をかけてよかったが、佐藤龍の一ゴロでなんなく1点を奪われてしまった。

逆転が狙えた7回裏も、もったいなかった。同点に追いついた直後の1死一、二塁、加藤豪の中前安打で二塁走者がホームに突っ込んでアウト。次打者は松本剛であり、無理させる状況ではない。結果論になるが、松本剛にもヒットが出て、セオリー通りの走塁をしていれば勝ち越せていたし、伊藤に勝ち星をつけてやれた。

最後は延長12回1死満塁からマルティネスが決勝の犠牲フライ。さらに勢いがつくような勝ち方だった。浮かれることなく、反省できる点はしっかり反省し、今後の厳しい戦いを乗り切るチームに成長してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)