巨人が4年ぶりのリーグ優勝を果たした。混戦を制した巨人の勝因は、安定感のあった投手力とセ・リーグ最少の失策数だった守備力だろう。しかし開幕前の戦力を他チームと比べると、それほど高いと思わなかった。昨年は4位で原監督が辞任し、優勝するためには「プラスアルファ」の戦力が必要だと思っていた。
エースの戸郷と主砲の岡本和は「活躍してもらわなければ困る主力選手」で「プラスアルファの選手」ではない。ただし、当たり前の活躍とはいえ、それをやり遂げた投打の主力がいたからこそ「プラスアルファの選手」の価値が重要になる。そして本来なら「プラスアルファの選手」として考えるのは新外国人などの新戦力。しかしプラスアルファの貢献をしたのは、意外な選手だった。
投手の菅野。野手の丸。この2人の近年の成績は、いまひとつだった。年齢的に現状維持はできても「プラスアルファ」を生み出すまでの活躍はできないと考えるのが普通だろう。しかし全盛期のプレーとまではいかないが、前年度の成績を上回る活躍。菅野はカードの3戦目の先発が多かったが、見事にポイントゲッターとして勝ち星を増やした。丸も走力の衰えを長打力でカバーし、1番打者として1年間活躍した。今年で35歳を迎える同級生で、成績が落ちてもおかしくない2人のベテランが、大きなプラスアルファをチームにもたらせた。
阿部新監督の「決断」も、チームの無駄を省き、プラスアルファを生み出した。新外国人のオドーアを開幕2軍にし、結局、これを不満にしてオドーアは帰国した。新外国人は試合に慣れさせる必要があるが、慣れるまで起用してダメだった場合のリスクは大きい。そしてオドーアに替わってシーズン途中で加入したヘルナンデス、モンテスが活躍。シーズンの途中から移籍した野手の外国人で活躍する選手は少ないが、そんなイメージを覆した。フロントの補強戦略もチームをバックアップした。
阿部監督はローテーション投手として投げてきた山崎伊も、シーズン終盤で抹消するなど、厳しさがある。選手に奮起を促すための厳しさであり、自らが責任を取る覚悟がなければできない決断。荒っぽいやり方だが、前任者の原監督も厳しい監督だっただけに、やりやすかった面もあるだろう。厳しく戦える土壌があり、思い切った戦略を立てて戦えたのが、最後のラストスパートにつながったのだと思う。最後の最後で優勝するチームの「強さ」を見せてくれた。(日刊スポーツ評論家)




