今季6度目の先発で2勝目を挙げた田中将が、200勝に王手をかけた。試合は2回までに6点の援護をもらう展開だが、投球内容を冷静に見ると、今まで感じられなかった内容だった。お世辞ではなく、今季中の200勝はもちろん、来年も先発投手としてやれると感じさせてくれるものだった。

得点差がついた試合は、独特の難しさがある。ひと言で言うなら「四球は厳禁」で、投球リズムも大事。ボールが先行して四球を出そうものなら守っている野手は「何やってんだ」となる。ベテランの田中将だけに、態度に出す野手はいないだろうが、重苦しい空気になるのは間違いない。

そんな中、田中将は「低めに投げる」を徹底していた。初回はまだ1点リードのマウンドで、狭い神宮球場で低めを重視したピッチングだった。そして「さすがだな」と思ったのは6点差がついた2回以降のピッチングだった。カウントが悪くなると、大胆に腕を振って投げていた。低めに丁寧に投げていたピッチングフォームとは明らかに違うため、打者は差し込まれる。この辺のメリハリが「勝てる投手」として活躍してきた実力の片りんだろう。

思わぬ点差がつくと、思うように投げられなくなる投手がいる。制球力を重視しようとして腕の振りが鈍り、球がタレてしまったり、カウントが悪くなって力を入れて投げようとして抜けたりする。相手打線も四球を出したくないと思っているだろうから、積極的に打ちにくるため、ストライクを先行させようとすると連打の危険も高まる。

これで1軍復帰してから3試合で15回2/3で6失点だが、自責点は2点だけ。今季は5試合目まで20回2/3で12四球を与えていたが、この試合は無四球で、前回の登板でも1四球のみ。ここまでの登板は接戦が多く、余裕がなかったが、この試合で打者を抑えるコツのような感覚を思い出したのかもしれない。際どいコースを狙いすぎて自らの投球を苦しくしていた内容とは違う。登板間隔に慣れてきたのだろう。あと何試合、先発するか分からないが、今季中に200勝達成はできると思う。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対巨人 2回裏ヤクルト2死二塁、岩田を三飛に抑える田中将(撮影・河田真司)
ヤクルト対巨人 2回裏ヤクルト2死二塁、岩田を三飛に抑える田中将(撮影・河田真司)
ヤクルト対巨人 力投する巨人先発の田中将(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対巨人 力投する巨人先発の田中将(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対巨人 5回裏を抑え、笑顔を見せながらベンチに戻る田中将(撮影・河田真司)
ヤクルト対巨人 5回裏を抑え、笑顔を見せながらベンチに戻る田中将(撮影・河田真司)