不思議な巡り合わせにも、背中を押された。日本ハム上沢直之投手(23)が7月2日ロッテ戦(ZOZOマリン)で726日ぶりの勝利を挙げた。16年3月に受けた右肘の手術を乗り越えての復活投。チームが日本一に輝いた昨季は、1軍で1度も投げられなかった。悔しい思いを抱き、立った今季4度目のマウンドで手にした白星だった。

 ヒーローインタビューで「運命じみたものを感じています」としみじみ語った。最後に勝利したのは15年7月7日ロッテ戦(QVCマリン)。対戦チームも、球場も、相手先発が石川だったのも、同じだった。偶然の重なりに「奇妙な感じ」と笑った。専大松戸時代に慣れ親しんだ“ホーム”での84球。地元だけに家族も応援に駆けつけていた。勝利への舞台は整っていたようだった。

 今季、日本ハムではドラマのようなシーンが何度もあった。上沢と同じくケガから復帰した浦野博司投手(27)は復帰初戦で695日ぶりに勝利。新加入の村田透投手(32)がプロ10年目で悲願の初勝利を古巣巨人相手に挙げ、お立ち台で男泣き。ルーキー玉井大翔投手(25)は高校時代に甲子園のベンチ入りをしたが、3番手で立てなかった聖地のマウンドでプロ初勝利を挙げたなど、背景にはそれぞれの物語があった。

 どのドラマもまだ完結はしていない。上沢のストーリーも、これからまた盛り上がりを見せてくれるはずだ。【日本ハム担当=保坂果那】