残念ながらファイナル初戦を落としてしまった工藤ホークスだが、悲観することはない。リーグ最終戦から9日間も試合があいて、実戦感覚がなかったようにも感じたが、それでも一方的な敗戦ゲームになることはなかった。

 それにしても何とも珍しい一戦だった。両軍合わせて5得点。楽天の3発にソフトバンクの2発。すべてソロホームランのみの得点だった。ともに「つながり」を欠いたとも言えるが、両軍2本以上のソロ本塁打を放っての得点試合というのはプレーオフ初。さらに日本シリーズをさかのぼっても、過去1度もないという「珍記録」だった。シーズンとなると、パ・リーグでは87年の阪急(3本)対近鉄(4本)の4-3で近鉄が勝利して以来、というから30年ぶり。なかなかお目にかかれない試合だったわけだ。

 先発東浜が3発を被弾した。楽天とのリーグ戦を振り返れば、大いに反省をしなければならないことも確かだ。今季は対楽天の被本塁打数が27本。ホークスが放ったアーチは14本。倍近く打たれている。4回に中堅越え本塁打を放ったウィーラーには9月25日の試合(ヤフオクドーム)でも千賀が30号3ランを献上してしまった。「ここは球場が狭く(ドームだから)風がないからね。仙台や千葉は風があってなかなかホームランになりにくい」と、ウィーラーは話したことがある。敵地ながら力まずコンパクトに振り切ることを心掛けてもいるようだ。

 まあ、終わったことを振り返ってもしょうがない。今日の第2戦からはソフトバンクらしく「つながる」打線で王者の力を示してもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】