こんなシーズンになるとは、誰も想像しなかっただろう。ロッテ岡田幸文外野手(33)は9年目を「いろんなことを考えてしまいました。寝られない日も、ありましたよ。葛藤の1年でした」と振り返った。

 彼の一振りから幕を開けた。3月31日、ソフトバンク(ヤフオクドーム)との開幕戦に1番中堅で先発。1回表の第1打席は、和田に三ゴロだった。オープン戦は打率1割2分。調子は上がらないままだったが、伊東監督に和田との相性(16年は14打数7安打の打率5割)を買われ、先頭打者に指名された。しかし、結果は3打数無安打1四球。チームも1-3で敗れた。

 思えば、最初の三ゴロがトンネルの始まりだった。よく、どんなに実績を残した選手でも、シーズン最初の安打が出るまでは落ち着かないというが、岡田はその1本が出なかった。結局、31試合で40打席に立ち、33打数無安打5四球2犠打。7月9日の代打を最後に2軍で終えた。つまり、シーズンノーヒットだった。40打席は昨季のロッテ吉田の35打席を上回る、野手のシーズン無安打記録。岡田本人も「知ってました。情けない。こんなはずじゃないと思いながら、31試合が終わってしまった」と言うしかなかった。

 記者も、岡田の力はこんなはずじゃないと思っている。確かに、打撃よりも守備、走塁の人ではあるが、チャンスでは結構しぶとい。そんなイメージがあった。何が原因だったのか。「スタメンから、だんだんチャンスが少なくなって、(代打の)1打席勝負になって、早く1本が欲しいというのは正直ありました。1本出れば何とかなると思ってたけど、その1本が出なかった。焦りでしょうね。準備が出来ず、1本が欲しいとなってボール球に手を出したりして」。打撃フォームが固まらないまま開幕を迎え、結果が出ずにドツボにはまっていった。

 ロッテの外野は競争が激しい。来季も安泰は角中だけだろう。荻野、清田、加藤、伊志嶺、肘井。内野と兼ねる根元、細谷もいる。三木、大嶺翔も外野の練習を始めた。ルーキーも入ってくる。そんな中、岡田は今秋キャンプではバットを極端に短く持った。拳1個半をあまらせ、体幹を意識してコンパクトに打つことを徹底した。1軍に定着した10年時の打撃コーチだった金森栄治氏が、再びコーチとして戻ってきた。同コーチの教えを、もう1度トライしている。

 育成からはい上がった“岡ちゃん”も、来季で10年目。もうベテランだが「年齢は関係ない。ガツガツ行きますよ。もう1回、ゴールデングラブを。ずっと試合に出たら、取る自信はあります」と力強く言った。不名誉な記録は過去のもの。来年こそ、と意気込んでいる。【ロッテ担当=古川真弥】