野球は投手対打者の攻防で成り立つ。サッカー日本代表の指揮官の言葉を借りれば「決闘(デュエル)」の積み重ねだ。

 「ベンチからグラウンドへ向かう白線を越えれば、俺は戦士の心構えなんだ。だから感情を前面に出す。紳士になるのはベンチに戻ってからでいい」

 来日8年目を迎え、今季から投手キャプテンも務める巨人スコット・マシソン投手(34)の言葉だ。

 少年時代から「決闘」に育まれた。かつてはアイスホッケーもプレー。特別練習が忘れられない。

 「仲間を選んで、1対1で殴り合うんだ。もちろん防具はつけているけどね。倒したら勝ち。負けたら罰走をさせられる」

 フィジカルコンタクトのスポーツで、最高峰のNHLでは乱闘もなじみのシーンだ。文化的な土壌があっての“練習”で「今の時代は許されないだろうけどね」と笑うが、戦いの意識は投手マシソンに確実に根付いている。

 30日に今季のプロ野球が開幕した。1試合で最低でも50回以上の決闘がある。決闘の裏にある思いやドラマを、我々メディアは集約して伝えていく。【巨人担当 広重竜太郎】