いないはずの姿を見て、思わず口を突いて出た。「いつ、休んでるの?」。9日の月曜日、ヤクルトの野手陣は休養日だった。にもかかわらず、青木が、バットを手にして神宮の室内練習場に姿を見せた。マシンを相手に打ち込むと、同じく休日返上で練習に来た上田と打撃論を交わしていた。

 メジャー帰りの36歳は、開幕からヤクルトの4番を張り続けている。注目度、重圧は計り知れないが、休日はほぼ返上してマシンと向き合っている。ファンへのサインも、時間の許す限りはペンを走らせている。野球に対する誠実さ、ファンの期待に応えようとする強い思いは、春季キャンプからの短期間しか取材をしていないとはいえ、はっきり分かる。だからこそ、勝手ながら、パンクしないか心配になった。

 そんな記者のもやもやを、青木はさわやかな笑顔でさらっと一掃した。「大丈夫です。昨日、12時間ぐらい寝ましたよ。寝だめですね」。試合後、自宅で子供を風呂に入れ、そのまま一緒に布団に入った。「子供より寝ちゃったよ」と話す表情は、サングラスの上からでも柔和なのが伝わってきた。

 疲労度よりも、打撃をもっと突き詰めたいという意欲が勝るという。「(試合の中で)チェックしたいことが、また見つかったから。チェックするところがなければ(休日には)来ないと思いますよ」。7年ぶりに日本球界に戻ると、初見の投手がほとんど。タイミングの取り方など、打撃を“日本流”へと着実に仕立て直している。「徐々に良くなって来ていますね」と、日々の努力は着実に実を結び始めている。青木が打撃の微調整を終え、休日を神宮ではなく、家族と過ごす日は、そう遠くない気がする。【ヤクルト担当 浜本卓也】