工藤ホークスは勝率5割で交流戦を迎えることになった。5月の風を聞いての低空飛行。今季最大の危機ではあるが、暗い顔をして残り試合を戦うわけにもいかない。27日、楽天に敗れた試合後、珍しく王会長はベンチ裏の「監督室」に足を運んで工藤監督を激励した。「交流戦を迎えるから気分を変えてね。(交流戦が)始まったら待ったなし。野球はいろんなことがある。ここが腕の見せどころだと思って頑張りましょう」。激励を終え、報道陣に囲まれた王会長はそう言い残して球場を後にした。

 得意とする「交流戦」で風向きは変わるのか。チームには苦難ばかりが降りかかる。交流戦の開幕戦となる29日の阪神戦(甲子園)で先発復帰予定だった千賀が、今度は右手の指のマメをつぶし、急きょ回避。代役の「開幕投手」は中継ぎの5年目岡本がプロ初の先発登板する予定。中継ぎで登板したここ3試合は無失点投球。六甲おろしが響き渡る完全アウェーで、思い切り腕を振ってもらいたいものだ。野手の本多に代えてファームからは1週間遅れで、セットアップ要員としてベテラン寺原も昇格させる予定。ブルペンの強化も図るようだ。

 苦肉の策が吉と出るか凶と出るか。王会長が言うように、いずれにしても「待ったなし」の戦いは続く。昨年まで3年連続“王者”に輝いた交流戦。厳しいチーム状況を好転させる機会ととらえたい。12球団NO・1のポテンシャルを持つホークスナインの劇的な「復元力」に期待したい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】