ちょっと複雑な心境なんじゃないか、と想像していた。阪神梅野の話だ。

 福岡大時代、リーグこそ違うが、同じ福岡の地で九州共立大エースだった広島大瀬良と競い合ってきた。その大瀬良が今季再ブレークして首位カープをけん引中。悔しさが募っても当然なところで、梅野には潔く相手をたたえるおとこ気があった。

 「今、すごい波に乗ってますよね。あいつは優しそうな顔をしているけど、闘志は強い。そういうのも知っているので。実力も知っていますし、今の成績は妥当だと思っていますよ」

 大学日本代表ではチームメートでもあった。親交のある同学年の1人として、性格も知り尽くしているようだ。「前に出てオレについてこいというタイプではないですけど、責任感が強いタイプですからね。点を取ってくれたら絶対に守ってやる、みたいな」。だから今の活躍に驚きはないという。

 一方の梅野も今季は例年以上に「正捕手」の座に近づいている状況。かつてのライバルに負けてはいられない。「ポジションが違うとはいえ、同期入団なのでね」と爽やかに笑った背番号44。大瀬良の奮闘もエネルギー源の1つになっているのだろう。【阪神担当 佐井陽介】