巨人長野の「おもてなし」にプロのすごみを感じた。18日の中日戦(東京ドーム)で山井から11号ソロとなる「メモリアル看板弾」を放った。

打球は大きな放物線を描き、左翼席上部のインターネットイニシアティブ社の小型看板を捉えた。東京ドーム看板ホームランの通算100本目を見事に射止めた。「初めてなのでうれしいです」と、振り返った1発を中継ブースの名俳優に披露した。

5月中旬。知人を介し、俳優の阿部サダヲと食事する機会があった。「めちゃくちゃ、好きです。ドラマも映画も見ました」。巨人ファンの阿部サダヲと意気投合。囲んだテーブルで和気あいあいとして雰囲気の中、貴重な時間を過ごした。「長野さん、頑張って下さいね。応援してますから!」とエールを送られてから3カ月。予期せぬ形で再開を果たした。それが18日の中日戦だった。試合前に中継局のスタッフからゲスト出演することが伝えられメッセージを求められたが「特にありません…」。グラウンドでのプレーを見てくれと言わんばかりのメッセージだったのかもしれない。

宮藤官九郎とダブル主演を務める、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の撮影で多忙を極める阿部サダヲが来場したワンチャンスを逃さなかった。看板役者の目の前で看板弾。プロフェッショナルの極みとも言える「おもてなし」だった。食事の別れ際に「僕は阿部サダヲさんのようにたくさんの人を魅了することができないので、単純かも知れませんが、打って、勝って、ファンを喜ばせられるように頑張ります」と約束した。まだ、戦いの舞台は続く。アスリートと文化人の違いはあれど、ともにプロ中のプロ。偶然ではなく必然の「メモリアル看板弾」だった。【巨人担当 為田聡史】

中日戦の3回裏、長野久義が左越えに放った本塁打が東京ドーム通算100本目の看板直撃弾と場内でアナウンスされた(2018年8月18日撮影)
中日戦の3回裏、長野久義が左越えに放った本塁打が東京ドーム通算100本目の看板直撃弾と場内でアナウンスされた(2018年8月18日撮影)