新垣勇人(2018年4月21日撮影)
新垣勇人(2018年4月21日撮影)

日本ハムを退団した新垣勇人投手(33)は古巣の東芝で投手コーチとして再出発する。現役は退くことを決めた。「葛藤はあった」。12球団合同トライアウトを受験したが、吉報は届かなかった。絶望の中で東芝からコーチ就任のオファーを受けた。悩んだ。6月に右肘手術を受け、10月に実戦復帰した。まだ投げたい、投げられる-。「正直に言ったら今でも、やりたい気持ちはある。でも、プロでやれないなら教える立場に回って野球に恩返しがしたいと思った」。周囲には相談せず、最後は1人で現役への未練を断ち切った。

同僚に、ファンに愛された。「人生にユーモアを持つのは大事」。自作の1発ギャグはみんなを笑顔にさせ、活力を与えた。チームが日本一まで駆け上がった16年。球団新の15連勝中は試合前練習でチームメートを笑わせ続けた。最大11・5差から大逆転優勝の陰の立役者だった。

11月24日、札幌ドームで開催されたファンフェスティバルにも飛び入り参加。退団選手による異例の登場にも会場は大きく沸いた。「中島卓也から『絶対に出て下さいよ』と連絡をもらった。びっくりした。普通、あの状況で表に出るのは嫌だから。でも、中島卓也じゃ盛りあげられないですから。使命感です」。

指導者としての抱負は「いい選手を育て、プロで活躍できるように手助けしたい。もちろん、メリハリをつけながら」。1発ギャグが受け入れられたのも、練習は真面目に取り組む姿があったからだ。「選手との会話で、ちょっとしたユーモアも交えていければ」。第2の野球人生も人の心を豊かにさせながら、まい進する。【日本ハム担当 木下大輔】

ファンフェスティバルにサプライズ登場の新垣(左)の芸に苦笑いする栗山英樹監督(2018年11月24日撮影)
ファンフェスティバルにサプライズ登場の新垣(左)の芸に苦笑いする栗山英樹監督(2018年11月24日撮影)