試合前セレモニーで元気な姿を見せた長嶋終身名誉監督(中央)は笑顔で手を振る。右は長島三奈さん(撮影・松本俊)
試合前セレモニーで元気な姿を見せた長嶋終身名誉監督(中央)は笑顔で手を振る。右は長島三奈さん(撮影・松本俊)

<巨人9-3阪神>◇2日◇東京ドーム

長嶋さんの元気な姿をみて心底ほっとした。昨年の6月8日、東京ドームでの西武戦で、話す機会があった。心なしか声に張りがなく、足元も以前より怪しかった。その時は失礼ながら「年を取られたなあ」と思った。実はそのあたりから体調は芳しくなかったのだろう。

関係者によれば、一時は本当に危険な状態に陥ったという。7月の入院後、いったんは回復した。夏の甲子園をテレビ観戦できるほどだったが、8月下旬から9月にかけて、体調が悪化。酷暑も災いして、集中治療室での闘病を余儀なくされた。現役時代からずっと変わらなかった体重も10キロ近く減ったという。

しかし、長嶋さんはその危機も乗り越えた。04年に脳梗塞で倒れた時も見事に生還したが、今回も類いまれな生命力をみせてくれた。危機から脱したあと、リハビリで「荒城の月」を毎日歌ったと聞いた。何でも発声のリハビリにはこの曲が適しているらしい。

春 高楼の 花の宴

長嶋さんは桜咲く春に見事に復活した。【元巨人担当 沢田啓太郎】

元気な姿を見せた長嶋終身名誉監督と渡辺読売新聞主筆(撮影・松本俊)
元気な姿を見せた長嶋終身名誉監督と渡辺読売新聞主筆(撮影・松本俊)