<ソフトバンク2-3オリックス>◇24日◇ヤフオクドーム

ソフトバンクの金星根(キム・ソングン)コーチングアドバイザーがよく言っていた言葉がある。

「左翼線、右翼線の守備を強化することで、チーム防御率が年間で0・5は改善する」

金氏は韓国プロ野球で監督として通算1000勝以上を挙げている「名将」である。左翼線、右翼線へ飛んだ打球をいかに長打にしないか。外野手の打球処理、送球の練習は特に力を入れたという。ノックは捕球ミスだけでなく二塁、三塁への送球がベース上から30センチ以上外れた場合も本数にカウントしなかった。「だいたい1日に100本はキャンプでやらせていたね。きちんとベース上に送球しないとやり直しですよ」と、金氏は涼しい顔で話していた。

ソフトバンクは24日のオリックス戦(ヤフオクドーム)で9回に守護神・森が2点を失い逆転負けを喫した。先頭打者への死球から盗塁と進塁打で1死三塁。7番中川は右翼線へ同点三塁打を放った。右翼手の周東は懸命に捕球し、カットマンの二塁手・三森へ送球。だが、三森の送球タイミングがワンテンポ遅れた。三塁への送球はワンバウンド。微妙なタイミングではあったがセーフ。続く伏見に一、二塁間を割られ、決勝点となった。

「あのプレーは、三森も他の野手も走者が三塁へは『行かない』と思ってしまっていた。行くものと思ってプレーしなくてはいけなかった」。試合後、本多内野守備走塁コーチは言った。カットに入った三森は走者に対して背を向けているだけに「他の選手の『サード!』という声もなかった。反省です」とも本多コーチは付け加えた。二塁で止めていれば決勝点を奪われない、とも言い切れないが。だが、ミスとも言えない1つの進塁を許したことは今後の戦いの中でも修正していかなければならないことだろう。ホークスは故障者続出の中、釜元、周東、三森など若手の頑張りも大きい。そんな若鷹たちもワンプレーの重要さを知ることができたのではないだろうか。確かに敗戦は痛いが、若手のさらなる成長へつなぐ収穫ある1敗としなければならない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】