<ソフトバンク5-6楽天>◇1日◇ヤフオクドーム

月が変わったから「ツキ」も変わったということではなかろう。開幕から無傷の5連勝だったソフトバンク高橋礼が今季初黒星を喫した。初回に4失点。制球に苦しみ、本来の小気味いいハイテンポの投球にはほど遠かった。技術的な問題は本人が一番自覚していることだろう。それよりも気になったのは、一般社会でもよく言われる「慣れたころが一番、危ない」という思わぬ心のスキである。

テクニカルより、メンタル面。快調な時ほど、不気味に頭をもたげてくる「おごり」「慢心」「油断」…。プロ2年目で先発ローテーションをつかみ、順調に白星を重ねてきた。白星の数が増えるにつれて自信もついただろうが、知らず知らずのうちに心に少しばかりのスキも生んだのではないだろうか。チームにとっては痛い1敗。だが、それ以上にサブマリンの奮起に期待を寄せる高村投手コーチは「(この敗戦は)本人にとってはいい薬になったかもしれませんね」とポツリと言った。

同期の左腕大竹は今季6試合目の登板前にこんな話をしていた。「もう1度、開幕以上の気持ちで投げたい。昨年失敗していますから」。昨夏、育成から支配下登録され先発5試合で2勝。6試合目の登板となった西武戦では2回途中8失点KOされた。昨年の反省はしっかり胸に刻んで臨んでいた。

侍ジャパンのユニホームにも袖を通したサブマリンだけに、さらなる成長に向け、この「黒星」の訳をしっかり見つめ直してもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】